メタ認知とは? 鍛えるメリットや日常生活でできる訓練の仕方について
感情的な言葉を口にしてしまったり、行動をとってしまったりしたあとで、「なぜあんな反応をしたのだろう」と振り返り、後悔したことがある人は多いのではないでしょうか?
しかし、反応する前に自分の感情に気づけると、後悔するような発言や行動が出にくくなります。そこで役に立つのが「メタ認知」という能力です。
今回は、メタ認知の意味や能力を鍛えて得られるメリット、日常生活で訓練する方法について解説します。
メタ認知とは?
メタ認知とは、「考えている自分」、「感じている自分」、「判断しようとしている自分」を少し高い位置から見つめる力を指します。
人は何か出来事が起きると、まず反応します。
例えば、嬉しい、腹が立つ、焦る、恥ずかしい、相手が悪い気がする、自分が否定された気がするといったものですが、この反応自体は自然です。
しかし、それをそのまま言葉や行動へ移してしまうと、トラブルのきっかけになります。
このような時にメタ認知が働くと、「今、私はかなり焦っている」、「相手の一言を必要以上に悪く受け取っているかもしれない」、「分かったつもりだけれど、説明しろと言われたら詰まりそうだ」というように、自分を俯瞰できるようになります。
メタ認知には大きく二つの側面があり、一つは「メタ認知的知識」で、もう一つは「メタ認知的活動」です。
メタ認知的知識とは、自分の思考の癖や得意、不得意についての知識で、「私は焦ると確認が甘くなる」、「感情が動いている時は判断がぶれやすい」、「この種の問題は理解より暗記で対処しがちだ」といった自己理解がこれにあたります。
メタ認知的活動とは、実際の思考、学習、判断の最中にリアルタイムで自分を監視し、修正する働きです。
本を読んでいて「理解できていない」と気づいて読み返す、話しながら「今の説明では伝わらない」と感じて言い直す、といった動きです。
この二つが連動すると、「自分はこのような時にミスしやすい」という知識をもとに、実際の場面で早めにブレーキをかけられるようになります。
メタ認知能力が高いことで得られるメリット

メタ認知能力が育つと、感情との付き合い方、学び方、働き方、対人関係の質が変わります。
感情に飲まれにくい判断ができる
メタ認知能力が低いと、例えば上司から指摘を受けた時に「否定された」、「見下された」と瞬間的に解釈し、反発や萎縮へ傾きます。
しかし、メタ認知能力が高いと「今の私は指摘に対して不安が強い状態にある」、「指摘の内容そのものと、私の受け取り方は分けて見た方がよい」などと考えられます。
すると、指摘の中身だけを取り出しやすくなり、必要以上に傷つかずに済むのです。
学びと仕事の修正精度が上がる
勉強でも仕事でも「自分はだめだ」で終わるのではなく、「理解が浅いのか」、「練習量が足りないのか」、「方法が合っていないのか」、「注意配分が乱れたのか」を切り分けられると理解や改善が進みます。
勉強でよくあるのが、読んで覚えた気になっている状態です。
ノートは埋まり、時間も使っていても、テストでは解けない場合、メタ認知能力が低いと「頭が悪い」と評価してしまうケースが少なくありません。
一方、メタ認知能力が高いと「読める」と「説明できる」は別だと知っているため、白紙へ書き出す、他人へ教えるつもりで話す、問題形式で確認するといった方法へ切り替えられます。
仕事では、資料づくりや接客、営業、会議運営、部下指導といった業務でうまくいかない時に「何が原因か」を見分けられるので、立て直しが早くできます。
人間関係のすれ違いが減る
人間関係の悩みは、相手の発言そのものより、自分の受け取り方によって生まれることがあります。「私は今どう受け取ったのか」を理解しないまま話が進むと、すれ違いの原因になるのです。
人は、例えばLINEの既読が遅い、返事が短い、表情が硬い、会話の熱量が低いといった場面で、意味づけを始める傾向があります。
「嫌われた」、「冷められた」、「軽く見られている」などが代表的な例ですが、相手は疲れているだけかもしれませんし、考え事で余裕がないだけかもしれません。
メタ認知で、「私は今、不安寄りの考え方をしている」と自覚ができると、決めつけが減り、不要な衝突も減ります。
話し合いの場では、「相手の言葉に反応しているのか」、「自分の過去の傷が刺激されているのか」などの見分けがつくと、会話の質は大きく変わるでしょう。
「今の言葉がつらかった」ではなく、「私はこの話題に強く反応がある」と認知できれば、相手を責めすぎず、自分も守れます。
メタ認知能力の鍛え方

メタ認知能力は、日常の中に小さな習慣を埋め込むだけで、着実に高められます。
感情が動いた瞬間を言葉にする
メタ認知能力を鍛えるのに効果的なのが、「感情が動いた瞬間に名前を付ける習慣」です。
人はイラッとした、落ち込んだ、悔しかった、不安になったという感情の直後に口が動いたり、スマホへ逃げたり、黙り込んだりします。
ここへ「今の感情は何か」と言葉を差し込むだけで、思考が変わります。
まずは「嫌だった」、「焦った」、「見下された気がした」、「分かってもらえず腹が立った」で十分です。
そしておすすめは、一日一回、強く反応した場面を短く書く習慣を持つことです。
「出来事」、「その時の感情」、「頭に浮かんだ考え」、「取った行動」の四つを分けて書くと、心の流れが見えてきます。
上手な文である必要はなく、心の中をそのまま写す感覚で続けるうちに、自分の反応の型が分かってくるでしょう。
この手法は感情日記、ジャーナリングとして心理学的にも効果が確認されています。
行動と結果を分けて振り返る
「だめだった」、「向いていない」、「また失敗した」では、次へつながりません。
たとえ結果が悪かったとしても、行動の中に良い点や修正点が混ざっているはずなので、それを分けて見られると、自己攻撃ではない振り返りができます。
例えば、プレゼンがうまくいかなかった時、「話すのが下手だった」で終えるのではなく、「準備段階で聞き手の情報が曖昧だった」、「最初の結論提示が遅れた」、「緊張で話す速度が上がった」と分解しましょう。すると、次回へ向けた修正点が具体化します。
勉強でも「点が低かった」で終わらず、「問題文の読み違いが多かった」、「暗記ではなく理解不足だった」、「時間配分が崩れた」と切り分けます。
この訓練で大切なのは、自分を責める表現を減らす点です。
人格評価ではなく観察へ寄せ、「私はだめだ」ではなく「今回は確認が浅かった」、「集中の切れ目が早かった」と表現を変えるだけで、視点が大きく変わります。
他者視点で自分を見る
自分ひとりで振り返ると、どうしても見えない偏りが出るため、「他者視点」も入れましょう。
他者視点とは、他人に評価してもらうのではなく、「信頼する人から見たら今の自分はどう映るか」、「第三者なら何が起きていると言うか」と想像することです。
これは認知行動療法でも用いられ、自分の思考を外側から眺める視点を意図的に作ります。
例えば、自分が落ち込んだ時、「もう終わりだ」、「全部うまくいっていない」と評価するのではなく、「友人が同じ状況なら私は何と言うだろう」と問い直してみると、見え方が変わってくるはずです。
他人へ向ける言葉は意外に現実的で、「一回の失敗で全部は決まらない」、「疲れているのも影響している」、「修正点はあるけれど全部否定する必要はない」という視点になり、それを自分へ戻せます。
実際に人と話すことも効果があります。
コーチングなど相談という形でも、学習仲間や同僚と振り返りを共有する形でも構いません。
自分では問題だと思っていなかった点にアプローチされる時もあれば、逆に重大視していた点がそれほど深刻ではないと分かる時もあります。
外の視点は、自分の内側の偏りを気づかせてくれるでしょう。
感情に流されず、自分を観察する力を高めよう
メタ認知能力は、自分の思考と感情の流れに気づき、必要なら修正するといった繰り返しの中で育つものです。
大切なのは、反応を消すのではなく、反応へ気づき、反応と判断を分ける視点です。
この視点があるだけで、感情的な発言や行動の回数は減るでしょう。
もしも「感情の波が強い」、「仕事や勉強がうまくいかない」、「人間関係で同じパターンにはまる」などと感じていることがあれば、自分を一つ上から見つめる視点を持ってみてください。
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それは、コーチングが人の「強み」を伸ばし、行動化をサポートする新しいコミュニケーションの技術であることが理由かもしれません。この技術の新しさは、相手の不平や不満という負の感情さえも、建設的な力への転化が可能であることです。
さらに注目したい画期的な効果として、コーチングが「違い」を活かし合う創造的なコミュニケーションの手法であることから、
相性や性格、価値観が合わない相手との対応力を向上させることも可能にしてしまう点です。
結果として、自分のコミュニケーション能力の飛躍的な向上やリーダーシップなどの幅を広げることに役立てられます。
コーチングは「自分らしさ」も「相手らしさ」も大切にし、「お互いを高め合う」コミュニケーションの手法ともいえます。
老若男女、職種などに関係なく学習し、さまざまな場面で活用できる技術です。






