仲良しのサインは？ 犬同士のコミュニケーション方法について

犬同士の世界では、私たち人間にはさりげなく見える行動や仕草が言葉の代わりとなり、気持ちのやり取りが行われています。
仲良くしたいときの振る舞いを読み取れるようになると、散歩中の交流や多頭飼いの生活がより穏やかで楽しい時間へと変わっていきます。

今回は、犬同士が使う主なコミュニケーション方法や仲良しのサインについて、分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

犬同士のコミュニケーション方法

犬同士のコミュニケーションは、多くの情報が一瞬のうちに行き交います。人間のように言葉を持たない代わりに、ボディランゲージや匂い、吠え声や鳴き声を通じて相手へ気持ちを伝えます。
さりげなく見える仕草でも、犬同士にとっては重要なメッセージとして受け取られるのです。

ボディランゲージ

犬が最も多く使うのは、ボディランゲージです。例えば、尻尾の位置や耳の向き、姿勢など、身体の各部に表れるサインを通して他の犬とのコミュニケーションを取っています。
最も代表的なのが尻尾の動きであり、気持ちの変化をそのまま表しやすい部分で、尻尾を高い位置で大きく振っているときは喜びや興奮を表している場合が多いです。
しかし、必ずしもポジティブな感情であるとは限らず、普段よりも高く尻尾を上げているときは警戒のサインである可能性があります。

また、頭を低く下げて前足を伸ばし、お尻を高く上げる「プレイバウ」は、遊びたいときに見られる非常に分かりやすい誘いかけです。
反対に、初対面の犬同士が視線を外さずに近づく場合は、お互いに敵意を感じているサインと考えられています。

匂い

犬同士がお互いのお尻の匂いを嗅ぎ合っている光景はよく見られますが、これは犬の肛門にある「肛門線」という器官から出る分泌液に様々な情報が含まれているためです。
驚異的な嗅覚を活かして、相手の性別や健康状態、精神状態、年齢、繁殖の可否などの情報を読み取ることができるといわれています。

人から見ると少し不思議に感じますが、犬にとっては嗅覚を通してお互いの情報を知ろうとする自然な挨拶なのです。
お互いにお尻の匂いを嗅ぐことを許している場合は、近づくのを許しているサインでもあり、ポジティブな感情であるケースが多いようです。
ちなみに、排泄物から相手の情報を読み取れるとも考えられています。

吠え声・鳴き声

犬の吠え声や鳴き声も、重要なコミュニケーション手段です。
吠えるという行為はマイナスにとられがちですが、例えば尻尾を振りながら高いトーンで「ワン！」と大きく短く吠えるときは喜びや歓迎の意思を表現していることが多く、声の高低や長さなど吠え方の変化で様々な感情を表しています。

反対に低いトーンで「ワン！ワン！」と連続した吠え方をするときは、警告や威嚇の意味を持つ場合があります。このような感情のときは身体に緊張が走っており、耳がピンと立っていることが多いです。
感情を読み取るには声だけでなく、表情や身体の状態もよく観察する必要があります。
このほかにも、「キャンキャン！」や「クンクン」などの吠え声や鳴き声は恐怖や不安といった意思を表現しています。

犬同士が仲良しのサインとは？

犬同士が仲良しになっている場合や相性が良いときは、行動や様子から読み取ることができます。ここでは、仲良しの犬同士によく見られるサインをいくつかご紹介します。

相手の顔を舐める

良好な関係を築いた犬は、相手の顔や口周りを軽く舐める場合があります。これは子犬が親犬に甘えるときの名残であり、相手に対する信頼や親しみなど愛情表現の表れです。また、ストレス軽減や安心感を与える役割もあります。
相手の犬が顔を舐められるのを受け入れているときは、相性が良いサインとして捉えられます。

お尻の匂いを嗅ぎ合う

犬同士が出会った直後に互いの匂いを確認する行動は、先述のとおり相手の情報を読み取るための大切な挨拶です。お互いに警戒が弱まり、落ち着いた状態で行っているのであれば友好的な関係に進みやすくなります。

遊びに誘う

前足を伸ばしてお尻を高く上げる「プレイバウ」は、仲良くしたい気持ちが強く表れたアピールです。
誘いを受けた犬が同じ姿勢を返したり、嬉しそうに近づいたりすれば、親しい関係が築かれている合図になります。遊びに誘う行動は、信頼がなければ生まれにくい自然なサインです。

一緒に寝る

犬は警戒心が強い動物のため、安心できる相手でなければ一緒になることはありません。
犬同士で体を寄せて眠ったり、近い距離で横になったりする行動は深い信頼関係が生まれている証といえます。

ご飯を一緒に食べる

食事は犬にとって大切な時間であり、緊張が生まれやすい場面でもあります。それにもかかわらず、隣同士で落ち着いて食べる姿が見られる場合、相手を脅威として捉えていない証拠になります。
ただし、自然に安心した様子が見られるまでは無理に並べないようにすることが大切です。

穏やかにじゃれ合う

軽く噛み合ったり、追いかけっこしたりするのは犬同士が楽しみながら交流しているサインです。仲が良く、深い信頼関係が築かれている証と受け取れます。
ただし、一方が嫌がっていないか注意しましょう。

一緒に走る・歩く

散歩中に犬同士が歩調を合わせて一緒に歩いたり、広い公園などで並んで走ったりするのは、お互いを認め合っているサインといえます。

玄関まで一緒にお出迎えする

帰宅した際に犬が仲良く並んで出迎えにきてくれる場合、同居犬でなくとも相手への警戒が薄く、同じ環境を共有する安心感が育っています。
並んで尻尾を振るような可愛らしい姿は、良好な関係が続いているサインと読み取れます。

犬同士が仲良くなりやすい流れを作るポイント

犬同士の関係は、飼い主のペースではなく、犬のペースに合わせる姿勢が何より重要です。無理なく歩み寄れる流れを作ると、お互いが心地よく過ごせる関係に自然と向かいます。
ここでは、仲良くなりやすい流れを作るためのポイントをご紹介します。

相手の飼い主に必ず許可を取る

まずは最低限のマナーとして、他の犬と接触する際は相手の飼い主に必ず許可を取ってください。
また、飼い主同士が良好な関係を築く姿勢も大切です。お互いの愛犬の性格や好み、苦手なことを伝え合ってより安全に交流を楽しみましょう。

初対面は程よい距離を保つ

初対面の場では、程よい距離を保つ心がけが重要です。いきなり近づけると犬同士が相手の動きを読み取れず、緊張が一気に高まる可能性があります。
互いの存在を認識させつつ、少し離れた場所で歩かせると安心感につながります。相手を観察する余裕が生まれるため、落ち着いたテンションで対面へ移行しやすくなるでしょう。
なお、犬同士が興味を示さない場合は、トラブルを避けるために無理に近づけるのは避けましょう。

短い時間から始める

最初の接触は5分程度と短い時間から始めて、少しずつ延ばしていくようにしてください。
最初から長く過ごしてしまうと、興奮や疲労が積み重なり、思わぬ衝突につながるおそれがあります。焦らず犬同士のペースに合わせましょう。
もしも犬が緊張していたり、攻撃的な態度に出たりしたときは、速やかに引き離すなど冷静な対応が求められます。

犬同士のコミュニケーションを温かく見守ろう！

犬同士のコミュニケーションには、繊細な感情がたくさん詰まっています。最初はサインを丁寧に読み取りながら接し方を工夫すると、犬たちは安心して自然な関係を育みやすくなります。
愛犬が他の犬と心地よい時間を過ごせるよう、今回ご紹介したポイントをぜひ取り入れてみてください。