アサーティブコミュニケーションとは? メリットや活用方法

アサーティブコミュニケーションとは? メリットや活用方法

現代のコミュニケーションでは、自分の意見や気持ちをしっかり伝えつつ、相手の立場も尊重するスキルが求められています。そこで注目されているのが「アサーティブコミュニケーション」です。
仕事や家庭、友人関係など、あらゆる日常の場面で活用できるこのスキルを身につけることで、ストレスを減らしつつ円滑な人間関係を築きやすくなります。

今回は、アサーティブコミュニケーションの基本からメリット、実践する際のポイントなどについて、わかりやすく解説していきます。

アサーティブコミュニケーションとは?

アサーティブコミュニケーションとは、自分の意見や感情、考えを率直に、そして相手を尊重しながら伝えるコミュニケーションの方法を指します。
単に「自分の主張をする」ということではなく、相手との関係を大切にしながら、誠実で対等な立場で意見交換を行う姿勢が基本になります。

コミュニケーションにおける自己表現は、大きく分けて下記3つのタイプに分類されるといわれています。

1.アグレッシブ(攻撃的)タイプ

「アグレッシブ(攻撃的)タイプ」は、自分の意見を強く押し通そうとする傾向があります。
このタイプは自己主張が強く、短期的には意見が通りやすいものの、相手を威圧したり、関係を悪化させたりすることが多い点が特徴です。時にはハラスメントにつながる可能性もあります。

2.ノンアサーティブ(受け身的)タイプ

「ノンアサーティブ(受け身的)タイプ」は、相手の意見を優先しすぎて自分の考えを抑えてしまう傾向があります。
このタイプは対立を避けることを重視しますが、我慢が積み重なってストレスを感じたり、不満が表に出たりするデメリットがあります。

3.アサーティブ(適切な主張)タイプ

そして3つ目が「アサーティブ(適切な主張)タイプ」です。このタイプは、自分の意見をしっかり持ちながらも、相手の立場や感情を尊重する姿勢を重視します。
言いたい内容を明確に伝えつつ、相手の意見も丁寧に受け止めるため、建設的な対話が生まれやすくなります。

このようにアサーティブコミュニケーションは、3つのスタイルの中で最もバランスの取れたコミュニケーション方法といえます。攻撃的にも受け身的にもならず、自他を尊重する姿勢を保つことで、誤解や摩擦を減らし、信頼関係を育みやすくなります。
そのため、職場や家庭、友人関係など、あらゆる場面で活用できるスキルとして注目されています。

また、アサーティブな伝え方を身につけるのは、自分の感情を受け止めて理解し、相手との関係性をより良い方向に導いていく結果につながります。
自分の意見を正直に表現しながら、相手を思いやる態度を忘れない姿勢が、円滑なコミュニケーションの第一歩となるのです。

アサーティブコミュニケーションが注目される理由について

アサーティブコミュニケーションは特にビジネスの領域で必要性が高まっており、現代で注目されている理由としては、働き方や人間関係の変化が大きく影響しているといわれています。

昔に比べて価値観が多様化し、性別・年齢・国籍・働き方などが異なる人たちと関わる場面が増えています。そんな環境では、一方的な主張や遠慮ばかりの会話では、誤解やストレスが積み重なってしまい、対人トラブルが起きやすくなります。
そのため相手を尊重しながら、自分の意見もしっかりと伝えるスキルが求められているのです。

近年は、研修でアサーティブコミュニケーションを取り入れる企業も増えてきています。

アサーティブコミュニケーションの主なメリット

ここでは、ビジネスにおけるアサーティブコミュニケーションの主なメリットについてご紹介します。

良好な人間関係の構築

アサーティブコミュニケーションは自分の意見をはっきりと伝えながら、相手の考えにも耳を傾ける姿勢が良好な人間関係の構築に直結します。
遠慮しすぎたり、逆に攻撃的になってしまったりすることが減るため、対話の場がスムーズに進み、チーム内の信頼関係が育まれます。
結果として、意思疎通の摩擦が少なくなり、仕事のストレスを軽減するサポートにもつながるでしょう。

生産性が上がる

コミュニケーションの質が向上することで、生産性の改善にもつながります。
要望や困りごとを誤解なく伝えられるようになれば、ミスの防止や業務効率の向上に貢献できます。
自分と相手が納得した上で仕事を進められるため、作業に集中しやすくなり、成果を出しやすい環境を整える効果があります。新たなアイデアの創出にもつながるでしょう。

職場環境の改善

アサーティブコミュニケーションは、従業員のメンタルヘルスケアにおいても非常に有効です。無理な要求を抱え込んだり、感情を押し殺して我慢し続けたりすることによって生じるストレスを軽減できます。
自分の思いを適切に伝えられるようになると、心理的プレッシャーが緩和され、やりがいを持って働き続けられるようになります。
結果として、職場全体の離職率低下や健康維持にも良い影響を与えるでしょう。

アサーティブコミュニケーションを実践する際に重要な4つのポイント

アサーティブコミュニケーションを身につけるためには、下記4つの重要なポイントを意識するようにしましょう。

誠実な対話を心がける

まず大切なのが誠実さです。例えば相手と意見が異なるとき、自分の意見を押し付けて都合のいいように扱おうとする態度は信頼を損ねます。
自分の気持ちや意図を正しく伝えることが、誠実な対話の根本になります。相手に対して真摯に向き合う姿勢を示すようにすると、安心して本音を語り合える環境につながります。

率直に伝える

自分の気持ちや意見を率直に伝えるのも大切なポイントです。遠回しに言いすぎて意図が伝わらなかったり、我慢して溜め込んでしまったりするのは、誤解やストレスの原因になります。
思っていることをそのまま言葉にする勇気を持ち、自分の気持ちや希望、意見を明確に伝えるようにするのが重要です。
ただし、相手を傷つける表現にならないよう、感情的な言い方は避けながら話す姿勢が求められます。

対等に向き合う

アサーティブコミュニケーションでは、上下関係で相手を見下したり、自分を過度に卑下したりしません。たとえ職位や年齢に差があったとしても、相手の権利と自分の権利が対等に尊重されることが必要です。
相手の立場を理解しながら、自分の考えもきちんと伝えることで、健全なバランスが保たれます。

自分の発言や結果に責任を持つ

アサーティブコミュニケーションにおいて、「発言には責任を持つ」という姿勢は欠かせないポイントです。
発言内容に責任を持つのは当然ですが、自分の意見を主張して通らなかった場合でも、意見交換によって決まった場合であっても、話し合いによって決まったのであれば相手だけでなく自分にも責任が生じます。
また、あとから「あの時言おうと思ったのに」「実はこう思っていた」と言い訳するのは誠実ではありません。発言しなかった自分にも責任があることを理解しておきましょう。

少しずつ日常に取り入れてコミュニケーションを楽しもう

アサーティブコミュニケーションは、知識だけでなく日々の実践と振り返りが大切です。少しずつでも意識して取り入れることで、相手とのやり取りがスムーズになり、自己表現の幅も広がるでしょう。
今日からできる小さな一歩を重ねて、自分らしいコミュニケーションを楽しんでみてください。

今回の日記はここまで

コーチングについて

コーチングは現在、ビジネスの場面をはじめ、プライベートの場面においても広く用いられるようになってきています。

それは、コーチングが人の「強み」を伸ばし、行動化をサポートする新しいコミュニケーションの技術であることが理由かもしれません。この技術の新しさは、相手の不平や不満という負の感情さえも、建設的な力への転化が可能であることです。

さらに注目したい画期的な効果として、コーチングが「違い」を活かし合う創造的なコミュニケーションの手法であることから、
相性や性格、価値観が合わない相手との対応力を向上させることも可能にしてしまう点です。
結果として、自分のコミュニケーション能力の飛躍的な向上やリーダーシップなどの幅を広げることに役立てられます。

コーチングは「自分らしさ」も「相手らしさ」も大切にし、「お互いを高め合う」コミュニケーションの手法ともいえます。
老若男女、職種などに関係なく学習し、さまざまな場面で活用できる技術です。

一般社団法人日本コーチ連盟

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