
一流棋士の集中力に学ぶ! 日常に活かせる思考と習慣の整え方
頑張ろうと思っても集中力が続かずに気が散ってしまい、「やるべき作業に手がつかない」というようなことはありませんか?
そんなときに注目したいのが「将棋の棋士たち」です。
対局に向けて、彼らが実践している集中力の保ち方や思考法は、私たちの生活に役立つ部分が多くあります。
今回は、棋士たちの集中力や思考力、習慣を日常生活で応用できるように解説します。
将棋のプロに学べる日常で使える習慣とは?
棋士と聞くと「すごい才能がある人たち」と思うかもしれませんが、彼らの多くが実践しているのは、地味で反復的な習慣です。
・頭の中を整理するためにメモを取る
・感情を客観視するために内省する
・時間を区切って集中する
このような習慣は、仕事、勉強、育児、人間関係など、あらゆる場面に応用できます。
現代は、あらゆる情報とタスクに追われがちですが、静寂の中で深く考え抜く棋士のように、「一手一手を丁寧に選ぶ」「自分の感情を俯瞰する」「制限時間の中でベストを尽くす」といった思考と習慣を日常の中で少しずつ実践してみると、整った自分になっていく実感を持てるでしょう。
ミスしても動じない、淡々とこなす思考
集中しているつもりでも判断ミスをしてしまったり、感情が先走って余計な一言を口にしてしまったりといった経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか?
このようなときに大事なのは、「ミスをしてはいけない」という思考ではなく、「ミスをしたあとにどう立て直すか」の視点です。
棋士たちは、この立て直す力が優れており、対局中に明らかな悪手を指しても、表情を崩さず静かに次の一手を考え続けます。
動揺して次の手も乱れるのか、あるいは冷静さを取り戻して再構築できるのかの分かれ道を決めるのが「事実と感情を切り離す」という力です。
例えばプレゼンで詰まって焦ってしまったとき、その焦りを感じながらそのまま話し続けた結果、大きく話がズレていたというようなことはありがちです。しかし、内心の焦りをそのままにせず「いま焦っているな」と観察できれば、ひと呼吸置いて軌道修正ができるケースも多いのです。
対人トラブルでも、感情に巻き込まれているときはどうしても思考や視野が狭くなり、「こんな失敗をした自分は最悪だ」「どうしてあの人はあんな言い方をするんだ」というように、自身や相手を責める方向へ思考が偏ってしまいやすくなります。
ここで事実と感情を切り離せると、「何が起きていて自分はどう反応しているか」を整理でき、「相手がこのような行動をしたのは、もしかして何か大きな背景があるのかも」と視野が広がるでしょう。
事実と感情を切り離すトレーニングとして最も効果的なのが「書き出し」です。
例えば、下記のように2つに分けてノートに書いてみて下さい。
事実:上司の前で資料の順番を間違えた
感情:恥ずかしい、焦った、自分を責めたくなった
このように分けると、事実と感情の境界線が見えてきて、客観視できるようになります。
大事なのは、書いた内容を評価したり否定したりしないことで、ありのままを記録するだけで、自分の思考が整ってくる感覚を得られるでしょう。
「次の一手の精度」を上げる冷静さの作り方
一流の棋士たちが極限状態の中でも精度の高い一手を選べる背景にあるのが、ミスやトラブルの中でもブレない冷静さです。
「いま何が起きていて、どんな選択肢があるのか」を見つけられる「観察→整理→選択」という流れから生まれています。
例えば仕事でミスをしたときに、「今回のミスはなぜ起きたのか?」「どこを改善すれば次は防げるか?」といった冷静な視点が持てないと、また同じ失敗を繰り返してしまうでしょう。
将棋の対局ではどの一手も「意味がある一手」として、派手な攻め手だけでなく、地味に見える守備や手待ちといった選択も流れを変える大事な判断です。
私たちの日常生活でも、何気ない一言、ちょっとした返信、5分の使い方など、すべてが次の展開に繋がっていくため、「この選択はどう繋がるのか?」を意識して動くだけで、判断の質が違ってきます。
・SNSに投稿する前に「誰がどう受け取るか」を考える
・断るときに「相手の気持ちがどう動くか」を想像する
・イライラした時にあえて一呼吸置くという選択をする
このような小さな判断の精度が積み重なると、信頼されて、安定して成果を出せる人と評価されるようになるでしょう。
棋士の感想戦は日常にも使える振り返り術
将棋の対局は、勝ち負けがついたあともすぐには終わりません。
棋士たちは対局が終わるとすぐに席を立たず、お互いに「感想戦」と呼ばれる振り返りの時間を持ちます。
この感想戦では、どの場面で形勢が傾いたのか、なぜその手を選んだのか、もし別の手を指していたらどうなっていたかなど、冷静かつ丁寧に検討し合います。
この「振り返りの習慣」こそが、棋士たちが短期間で実力を伸ばしていける理由の一つです。
棋士は、たとえ勝ったとしても「もっと良い手はなかったか?」と自ら問い直し、負けたとしても「どこから形勢が悪くなったのか?」「なぜその一手を選んでしまったのか?」を徹底的に掘り下げます。
この振り返りのスタンスには、「感情」より「分析」を優先する姿勢が表れており、感情に支配されて「なぜ負けたのか」と落ち込むのではなく、「何を改善すれば次は違う結果になるか」を前向きに探るのです。
思い通りにいかなかったことをただ失敗として終わらせず、次に繋げるためにも、感想戦のような振り返り術は私たちの仕事や勉強、育児、人間関係にもそのまま応用できます。
例えば、一日の終わりに「今日、判断を迷った場面はあったか?」「なぜその選択をしたか?」と自分に問いかけてみるだけで、同じミスを繰り返さなくなる方法が見えてきます。
振り返りは後悔の時間ではなく、次に繋がる分析の時間として活かせるものなのです。
また、「うまくいったときの理由」に注目すれば、それが再現できて成果が安定して出るようになるため、うまくいった日の中身も言語化しておくと良いでしょう。
「時間配分」の意識が集中力の質を変える
「時間はたっぷりあるのに、なぜか集中できない」というときは、集中力が低いのではなく、時間の使い方にメリハリがないのが原因であることが多いです。
将棋の公式戦では、持ち時間があらかじめ決まっています。
その時間は1手30秒~数時間まで幅広く、この限られた時間の中で、いかに冷静に、かつ最善を選ぶか、思考の瞬発力と集中力が問われます。時間に制限があることで、逆に頭の中の無駄な迷いが削られ、「集中を濃縮させる技術」が鍛えられていくのです。
「時間を制限するから集中できる」という考え方は、私たちの日常にも応用でき、時間の切り方ひとつで、頭の働きも行動の精度も大きく変わってきます。
例えば、会議前のギリギリ30分で資料が仕上がったり、締め切り前日に突然スイッチが入ったりと、時間がないからこそ集中できたという経験はないでしょうか?
これは脳が「あと少ししか時間がない」と認識したとき、思考を一点に集中させられるのが大きな理由です。
この仕組みを意識的に活かすのが、「時間を区切って取り組む」という方法です。
例えば、次のような場面で試してみて下さい。
・朝の30分だけでメールを全て処理する
・会議前の10分だけで伝える内容を紙に書き出す
・家に帰ってからの15分だけ集中して読書する
このように時間を限定すると、ダラダラ悩んだり他のことに気を取られたりする暇がなくなり、短時間で高い成果を出せるようになっていくでしょう。
棋士的習慣は誰でも今日から取り入れられる
将棋の世界に身を置く棋士たちの集中力や鋭い判断力の裏側には、派手さのない地道な努力と、日常の中で磨かれた整える習慣があります。
将棋の対局が一手一手で流れを変えていくように、私たちの毎日も「ちょっとした一手」の積み重ねです。
だからこそ、棋士のように冷静に自分と向き合いながら、整った判断を少しずつ増やしていってみて下さい。

コーチングは現在、ビジネスの場面をはじめ、プライベートの場面においても広く用いられるようになってきています。
それは、コーチングが人の「強み」を伸ばし、行動化をサポートする新しいコミュニケーションの技術であることが理由かもしれません。この技術の新しさは、相手の不平や不満という負の感情さえも、建設的な力への転化が可能であることです。
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コーチングは「自分らしさ」も「相手らしさ」も大切にし、「お互いを高め合う」コミュニケーションの手法ともいえます。
老若男女、職種などに関係なく学習し、さまざまな場面で活用できる技術です。
