森山 展行(Nobuyuki Moriyama)

一般社団法人 日本コーチ連盟 理事長、コーチアカデミー学長
一般社団法人 日本コーチ連盟公認マスターコーチ

プロフィール

北海道札幌市生まれ。法政大学文学部哲学科卒業。社団法人草加青年会議所卒業。
日本ナレッジ・マネジメント学会会員、同会認定CKO(知識統括役員)。
国際コーチ連盟認定コーチ養成プログラム修了(コーチ21及びCTIジャパン)。コーチングの新規性と可能性に惚れ込む。

平成13(2001)年にパーソナル・コーチとして活動開始。
しかし、コーチングを職業としたことで「コーチングの『基軸』となるものの必要性」を痛感。

結果、コーチングを「人の意欲の持ち方の特性を活用する」コミュニケーションスキルとして研究を進め、「自己成長の行動習慣化」を促すためのコーチングとコーチ養成プログラムを開発。
現場主義スタイルで、コーチング技術の普及に尽力している。

平成14(2002)年に大学公開講座としてコーチング技術の教授を開始。以後、継続して提携大学機関のコーチング講師を担当。
同年、日本コーチ連盟を創立、コーチアカデミーを開学。
平成15(2003)年にコーチ養成プログラムの教授を開始。
令和4年(2022)年には98期生を輩出した。

創造的な人間関係術 「コーチング」

コーチングに関心をお持ちいただき、ありがとうございます。

日本にコーチングが紹介されて早くも20年以上が経過しました。その間、コーチ各位の努力と多くの方々のご支持により「コーチング」 は徐々に認知されてきました。
コミュニケーションのあり方を豊かにする技術として、目標達成・能力開発の技術として、
そしてリーダーシップその他の人間関係に関する様々な領域において有効な技術として、コーチングは広まりつつあります。

一方で、コーチングはその特性である 「効果的な問い」の活用の点において、少々誤解を招いているようにも見えます。
コーチングは質問表現を多用する技術ではなく、「聴く」ことを土台とした技術であり、また、覚えた応答話法を繰り返す機械的なものではなく、
双方の 「感性と思考」 を大切にした創造的な人間関係術といえます。

コーチングは「技能」

そして何よりもコーチングは実践的です。例えると車の「運転技能」に通じるでしょうか。
そう、学科でテキストやビデオを見て内容を理解しても、実際に運転してみないことには縦列駐車も車庫入れも困難極まりない。
ですから、丹念に反復実践を繰り返すことで「知識」と「感覚」が結びつき、ようやく「技能」へと転化させることができます。

コーチングもこの種の技能です。「わかる」から「できる」に転化して初めてコーチング「技能」となります。
本学のプログラムでは、コーチングをテクニカルなスキルとしてではなく、身に付ける技能として、自己に他者に広く適用可能なコミュニケーション技能として教授しています。

まず、自分を活かせていること

コーチング技能の実際は、「まず、自分を活かす」技術であるということです。多くの方がコーチングを相手のためのサポート技法と思われているのではないでしょうか。
しかし、コーチが相手を懸命にサポートしようとすればするほど、コーチ側の欲求や知識・経験則が強く反映されやすくなります。
コーチが無意識のうちに相手を自分が思っている方向へ誘導してしまいやすくなるのです。

コーチ側の持ち味で相手を判断・操作するのではなく、相手側の持ち味を相手自身に活用してもらうためには、コーチ自身の心理的自立は不可欠です。
自分の特性を深く実感することによる「I'm OK, You're OK.」が実践できている必要があります。
ぜひ本学でご自身の持ち味を深く実感し、自分を活かす関わりを体験してみてください。

そして、相手も活かし協働して「答え」を創造する

コーチングのコーチはある意味で「触媒」です。コーチングにおいて、プレーヤー(コーチング利用者)はコーチという「触媒」を通じて自己の特性や傾向を再体験し、自分ならではの方向性や必要な行動を見出して実践していきます。

通常の私たちは、自らの持ち味を「フツウ」だと思い、放置してしてしまっています。
コーチングの面白味は、放置してしまっている自らの持ち味を活用するために、状況を180度転換してしまうことにあります。
コーチが違う「感性と思考」を持つ者として、相手と肯定的・積極的に関わることで、自分が極めて独特な感性と思考を持つ個人として再体験・再認識できるのです。

そしてまた、コーチング技能を身に付けることは、これまで「苦手」「嫌い」であった対象の人が、大変興味深い対象にも変化していくことにもなります。
自分とは相容れない価値観や特性も、相手自身の持ち味として関われるのです。
このことから双方の持ち味を活かした創造的なコミュニケーションに発展していきます。自分も相手も活かす、協働して「答え」を創造する。

多様な感性と思考を活用できる技能、これがコーチングです。
皆様のご参加をお待ちしております。